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人や時間を遠く感じる歌
こおろぎは声つきるまで星を呼ぶ地球の日本の垣根からひとり
小柳 砂
フランスに二十四年を暮らしても母語にならない異国の言葉
真島敦子
闇を裂き闇の向こうに行けるなら自死のおとうとに会えるかどうか
丸地卓也
いき違う言葉をずっと掘り下げて触れても触れても透明だった
のつちえこ
一握の土に一粒種を撒く五十年後の祭りのために
島袋香代子
どこまでも愚かな僕はまだ月に住めない時代を生き抜いてゆく
大橋謙次
若き日を詠めばざくりと傷ひらき柘榴のやうなわたしに出合ふ
池本日出美
鬼ごっこが町から消えればもうだれも鬼の素顔と孤独を知らず
福島隆史
川だったころの記憶を持つ水の三日月湖にはさざなみ止まず
奥山 恵
すすき揺れひかりひそかに訪ねきて人は遠くに眠り合う秋
中山洋祐
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