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特集同様に多様と包摂を感じる歌を選びました
〈人間回復の橋〉を渡つて療養島の人らと睦みし姉の四季かも
高尾文子
月に帰る、月に帰るといふ声す闇に浮かべる日本中の女雛
梅内美華子
ロッカーの隅より出でてミッフィーが首を傾げているペンケース
齋藤芳生
地図になき島よりはるか黒潮に運ばれ埋もるアヘンの空瓶
福島隆史
ほの明るく照らされてゐむ人骨を集めし西行問われぬ死因
霧島茉莉
炎症のやうな日常めくるめく横断歩道の手前に立ちて
古河惺
マンホールの上だけ歩いてポストまで行きたいけれど人間の足
池田竜男
アンケートの回答ふっと中断す男女の別を問うも暴力
松村由利子
目に見えないものだけを見る人のこと見ぬまま 歩行者用押ボタン
小田切拓
ようやくに〈納体袋不要案〉『コロナ死の対応』に二年九か月改定のなし
平山繁美
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