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作者自身の身に響く、射程の長い「問い」を感じられた歌を選びました。
吾子の手を離してしまひし一日(ひとひ)あり血栓のごとわが裡めぐる
江國梓
雨を待つこころのことを思いつつ山は崩るることもおもえり
酒田現
舌禍 うすくれないのセーターのその編み目より熱は洩れくる
辻聡之
あの「じゃあ」は「またね」かそれか「さよなら」か五叉路の先に肩まぎれゆく
大井学
夜空にはオリオンひとり大統領地上に何人ゐるか知らない
山﨑垂
路上にて生活するひとの横たわる長いトンネルのような段ボール
中山洋祐
ふりだしはつらくさびしい冬の雨、黒いネクタイ結ぶがごとし
檜垣実生
老眼鏡にルーペあてがひ書く背なか 母がゐなければ帰らぬ家か
松本典子
雪空のどれほどふかく手を入れてつかまうとしたのだらうか光を
渡辺松男
もの見えぬものを覚えぬ母なりき最後の握手かはせしは妻
坂井修一
※( )内は前の語句のルビ
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