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少しミクロだったりかと思えば実は少しマクロだったり、そのようなものを捉えた歌を選びました。
いかづちを呼ぶ暗きかぜ不意にして電線ひびき尾長は去れり
矢頭雪江
ベランダは南向きなりさうだつたあなたは花を枯らさない人
秋山聡子
搦手(からめて)より城に入るとき石垣の輪郭にはかに鋭さ増せり
一木千尋
入り口でナイフ一本受け取つて桃の世界の狩人となる
大竹広樹
かなかなを聞きたくてまたここに来る天地のかなしみかなかなが負ふ
福島隆史
D席の見知らぬ人と人生を五百キロだけ一緒に進む
黒川わかば
幼児が一つ二つと鞠をつき十(とを)までつきて途方に暮れたり
瀬尾博已
小雨よりかすかな雨を微雨といひ人おもふごと香りたりけむ
米川千嘉子
ゆふぐれはゆすらるる身の風鈴のうつろが鳴りぬそしてかうもり
渡辺松男
遅れ咲く青あさがほに水やれば秋の蚊おもく寄りて打たるる
森川多佳子
※( )内は前の語句のルビ
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