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表現に惹かれた歌を選びました。
ひとときを目高と遊びゐしわれはすでに贔屓(ひいき)の一匹をもつ
馬場あき子
手にみづといふよりセロファンテープのやう唾液のあとがうつすらひかる
渡辺松男
書きたくて書かむとし書けずにおく手紙取り返せない時間がたまる
森川多佳子
けふの日をさすらふ君の魂のいろ見つめるやうに咲く集真藍(あづさあゐ)
北辺史郎
謝肉祭 仮面のかほの完璧な笑みは取り引きへひとをいざなふ
鈴木加成太
怒り心頭まで届かずに額にて吹き出す夏のわたしのニキビ
川島結佳子
思い出を道しるべにして老いてゆく母を思えば子がわれを見る
小松佳奈
何もなき空間にあり何もかもあるやうな空 缶をつぶして
古河 惺
コピペしてWordの文書に保存する玉音放送現代語訳
德力聖也
草引けばあをくにほへり 椿象の饐えた昭和の指先洗ふ
山田公子
※( )内は前の語句のルビ
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