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わたしの心に力を生み出す歌を選びました。
帰りきて胡瓜いつぽん齧りをり踏みしだかれた河童のやうに
梅内美華子
読み手にはいつでもなると告げたればうれしげに笑むよろこび溢れて
石井照子
空をめざし崩れ落ちてはなほ目指すみづのちからを噴水と呼ぶ
池田 玲
消えさうになき古傷が多すぎる目蓋をぎゆつと閉ぢて通過列車
古河 惺
リビングのポトスの小鉢に隠れてるつもりの蟷螂このごろ家族
仲本恵子
待っててと君は言うけど待てないよ君の二歳は今だけだから
丸山由美子
「ワン」といふ犬の挨拶愛ほしき思ふに朝のお早やうなのだ
菊田智子
光ある何も見えずにいる今の青を探して夢を見つめて
伊川陽子
這ひのぼる俗の世ありき夏なりき秋に咲く花おのづからなれ
坂井修一
今もまだ誰かがどこかで待っているならば行ってもいいと思う夕暮れ
岩田敦子
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