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短歌専門の情報サイト「tankaful」が面白い。短歌関係の情報を集めたサイトとして二〇〇六年にスタートしたが、昨年九月から読みものを充実させた形にリニューアルされた。石川美南の「さまよえる歌人の会で、歌集を読む」、内山晶太の「一昨日短歌をはじめた人のための短歌教室」など、読み応えのある連載記事がいくつもある。
年明けに考えさせられたのは、アンケート「短歌に関わるなかで不便に感じていること」のまとめ記事である。二〇一四年十二月に実施されたもので、回答数は四十と少ないが、「日頃、短歌に関わるなかで不便に感じていることや気になっている」問題についての自由回答には、今後の結社運営や歌集出版のあり方のヒントになるものが多い。回答者のうち、結社に所属している人は十七人、所属なしは二十一人(非回答あり)。
さまざまな「不便」の中で、なるほどと思ったのは「結社の由来、歴史、結社誌面の構成など、口伝えにしか分からないことが多すぎる。全部wikiのような形式でまとめて欲しい」「数ページでも良いので、結社誌の見本がネットで確認できると良い」「特定の歌風の歌を読みたい場合、それが何と呼ばれる種類のものであり、どこで読めるのかが分からない」などの回答だ。真剣に歌を学ぼうとする人にとっては当然の要求だろう。
そこで思い出すのが、小高賢の『現代短歌の鑑賞101』(新書館)である。大変優れたアンソロジーだが、それ以上に巻末の「現代歌人系図」は評価すべきものだと思う。この系図は、現存する結社が「アララギ系」「心の花系」「空穂系」などの源流からどう分かれてきたか、すっきりと系統樹のようにまとめた図だ。近代短歌から現代に至る流れを知るうえで重要であるし、長い短歌の歴史に自らも連なるのだと自覚させるものだと思う。
自分が「かりん」に入るとき、「空穂系」の流れなど全く知らなかったことを恥ずかしく思い出す。「結社に入って勉強したいけれど、どこがよいのだろう。千葉に住んでいるから千葉の結社?」と悩んだ末、総合誌に掲載されていた広告の「特に新人を歓迎する」の一文に励まされる思いで「かりん」に連絡したのである。若者の結社離れを嘆く前に、初心者勧誘のためにできる工夫はいろいろあるはずだ。
アンケートには、歌壇に何となく「閉塞」感や「壁」を感じているという率直な声も寄せられている。記事をまとめた光森裕樹は「短歌の世界に新しい魅力をどう足していくかを試していく一方で、困っていることや残念なことは、少しずつでも改善していきたいものです」と記す。結社に所属する一人ひとりのできることは、小さくないはずだ。
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